2018/02/19

内地の人から見た北海道




宮下奈都さんの『神さまたちの遊ぶ庭』を読みました。

一年間限定で移住した、北海道トムラウシでの生活をまとめたエッセイです。

表紙に登場するのは、エゾリス、ニジマス、エゾクロテン、ミヤマカケス。写真には写っていませんが、キタキツネもいます。ニジマス以外は北海道の固有種です。


トムラウシってどこにあるの?


2009年にトムラウシ山で発生した大規模な遭難事故のことは、忘れられません。

本当にショッキングな事故でした。

この事故をきっかけに「トムラウシ」という地名、山名を知った方も多いでしょう。


航空写真です

宮下さんの子どもたち(長男:中3、次男:中1、長女:小4)が通った、新得町富村牛小中学校の場所を調べてみました。

右下に見えている新得町、鹿追町が最寄りの市街地です。十勝平野の北端にあたります。

富村牛小中学校は十勝平野から、山へ向かって一本道を20kmほど行ったところにあります。

この道の終点はトムラウシ温泉「国民宿舎東大雪荘」とキャンプ場です。南富良野に抜ける道なのかと思ったら、行き止まりでした。

なんだかものすごい山奥、に見えますが、校舎は意外と立派ですよ。

富村牛小中学校 校舎

「北海道の大自然を満喫したい!」という旦那様の希望で、2013年4月に福井から移住した宮下さん一家。

日記形式で、日々の暮らしが綴られていきます。本の中で見つけた「北海道あるある」をどうぞ↓



五月に雪が降る


ゴールデンウィークには雪が積もった。麓の屈足温泉の露天風呂に浸かって、どんどん降ってくる雪を見ていたら、「ああ、もうすぐクリスマスだな」と思った。違う。五月だ。脳が完全に騙されている。

毎年じゃないですけど、割と雪が降るんですよね。GWって。山間部のみならず、平地でも。

GWは北海道のアウトドアシーズンの幕開け。人々は「冬が終わったぞ~!」と勇んで外に繰り出します。

長距離移動や、峠越えをする人は、毎年GWが終わるまでは冬タイヤのままです。



春なのに蝉が鳴く



六月だというのに、蝉が鳴きはじめる。エゾハルゼミ、春の蝉だという。気温は二十度に満たないのに、蝉が鳴いていて混乱する。


これは、札幌市民だとピンとこない人がいるかもしれないです。

というのも、エゾハルセミは森林性のため、平地の市街地でセミの鳴き声を聞くことはほとんどないのです。

札幌でも円山の方にはたくさんいますけどね~。

でも、アブラゼミやクマゼミの五月蠅さとは違うような気がします。



トリカブトが自生している


「宮下さん、それ、さわっちゃだめ」
「えっ」
そうは見えないが、誰かが育てているものだったんだろうか。
「それ、トリカブトだから」
うそっ、トリカブト?ヨモギにそっくりだ。

トリカブトとか大麻とか、アブナイ野草が自生しています。

大麻は毎年行政が駆除していますね。効果は薄いようですが。

昔、父が「これ、トリカブトだよ」と花のついた茎を摘んできたことがありました。

ビニールに入れ、押し花にして大事に取っておいた思い出…。



家の中に生物兵器みたいな蚊がいる


これは北海道あるあるではありませんが、面白かったのでご紹介。

ヌカカというものすごく小さい蚊です。刺されると悶絶級のかゆみに襲われ、刺された部分は芯となり、皮膚は褐色に変色して跡が残る、最強最悪の蚊です。

普通は家の中にはいません。トムラウシが特別かと^^

私は数年前、灯台へ向かう道で足首を三カ所刺されてヒドい目に遭いました。

ヌカカ。名前からして人を油断させるが、調べると、「毎秒1046回羽ばたいている。これはすべての生物の中で最速の羽ばたきである」。
なぜ?なぜにそんなにがんばって羽ばたくのか。人さまの血を吸うためか。羽ばたかんでいいから花の蜜でも吸っていろと言いたい。



カブトムシがほとんどいない


宮下さんの娘さんはカブトムシを愛してやまないのですが、北海道にはクワガタばかりで物足りない、とぼやくお話があります。

残念ながら、カブトムシは北海道の固有種ではありません。

飼育されていた個体か、あるいは故意に持ち込まれたものが野生化して、定着しているようです。

ちなみにクワガタのオスを「おんた」、メスを「めんた」と言います。



雪が降る日は暖かい


福井だと、寒い寒いと言っているうちに雪になるのが常だったが、ここ十勝では、なんだか暖かいなぁと思っていると雪だ。気温がマイナス二十度を下回るようだとたいてい空は晴れている。雪は降らない。

十勝は雪が少ないかわりに、放射冷却現象が頻繁に起こるので、北海道でも特別寒い地域です。

十勝に限らず、雪の日の方が暖かく感じます。

雪雲が地表の空気を逃がさない「フタ」の役割をしてくれるからです。

余談ですが、雪のある1~3月よりも、4月の方が体感温度は低いんですよね。

気温はなかなか上がらないのに、街にはダウンコートを着てはいけないような雰囲気が漂って、薄着せざるを得ない…(^◇^;)

4月になると強風の日が多くなりますし…。



新年会は下の句カルタ


見ると、今までやってきた百人一首とはまるで違う。そうだ、『ちはやふる』で見た「下の句カルタ」だ。(中略)北海道で広く普及している百人一首は、読み手が下の句を読む。取り手は、絵札ではなく下の句が変体仮名で書かれた木板を取る。読み手の節も歌いまわしも一般的な百人一首とは異なっていた。


小学生の時、冬休みに公民館に集まってやってました。

北海道独自の文化だったんですね。

私も由来など全然詳しくないので、「北海道LIKERS」さんの解説を参考にどうぞ。



本の感想


エッセイは、宮下さん家の子供たちの話題が中心です。

個性豊かな三人の子供たちのエピソードは、確かに面白いのですが、少し物足りなさを感じました。それは、楽しかった出来事しか書いていないからです。

書きたくても書けないんだろうなぁ、と推察しました。

集落を実名で、しかもリアルタイムで雑誌に連載していたら、住人は仮名にしたところですぐに分かってしまいますもんね。

誰よりも北海道移住を望んでいた、旦那さんの話がほとんどなかったのも残念。夫婦仲を疑うレベルで登場回数が少ないです。



おまけ



平昌オリンピックでカーリング女子代表「LS北見」が試合中に使う北海道弁「そだねー」が可愛い、と話題になっております。


2018年2月19日付 ライブドアニュースより


「そだねー」って北海道弁だったのか~。知りませんでした。標準語とまではいかなくても、若者言葉で全国どこでも使うものだと思ってました。

あまり北海道弁という意識がない「そだねー」よりも、「ちょっと押ささって・・・・・もいいよね~?」とか、「~かい?」っていう言葉を聞くと、「あぁ~、北海道の子だな~^^」と親近感がわきます。

「~(さ)さる」や「~かい?」は日常的に使ってます。

カーリング、面白いですよ!

ルールは何試合か見ていればだいたい分かるし、戦略性を理解するとさらに面白さが増します。

一次リーグ、残るは英国とスイス戦です。全力応援していきます!


…おまけの方が本編みたいになっちゃった^^;





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応援ありがとうございます♪

4 件のコメント :

  1. 推察されていた『書きたくても書けない』事情、なるほどと思って読んでいました。生活していたら嫌だなって思うことがあるのが普通になのに、それができないって辛いところですね。良いところも悪いところも、読み手としては知りたいところだけど、そこで生活するには波風立てたくないだろうし。。。
    北海道あるあるをもっと知りたくなりました^^

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    1. >こころさん
      そうなんですよ~。エッセイとしては面白いんですけどね。小さなコミュニティならではの苦労話も絶対あるはずなんですよ。

      学校生活はすっごく楽しそうでしたけどね~。教師全員、運動会の徒競走で異常に足が速いとか^^

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  2. そんな年齢の子供が三人もいるのに、福井から北海道に移住! しかも一年限定!
    というのが一番驚きでした。さすが作家、一般人とは感覚がちがいますね。
    ものすごく寒くて晴れてるか、寒さはマシだけど雪か... 究極の選択かも(^^;

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    1. >うまんまさん
      本当に驚きです。しかも旦那さんは北海道に引っ越ししてから就職活動…。帯広で仕事が決まったものの、週2勤務ですよ。私ならキレます(笑)
      寒さと雪なら、雪の方がマシかもしれません。
      宮下さんは、寒さでコンタクトレンズとまつげが凍ってました。まつげが折れたら、女子は悲惨ですよね(^◇^;)

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